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【必読】『ミッケルアート』がシルバー産業新聞に掲載されました!


ミッケルアート」をご存じだろうか。回想法の一つで、クイズ性を持たせた昔懐かしい絵画を使うことで、介護職員や利用者同士の会話を弾ませ、利用者の真のニーズを引き出していくコミュニケーションツールだ。認知症の周辺症状を緩和する効果も出ており、昨年度には認知症ケア学会で優秀演題に贈られる石崎賞を受賞。最近では「差別化を図りたい」「ケアの質を高めたい」というニーズをもった介護施設やデイサービス事業所などで導入が図られている。  ミッケルアートを開発したのは、静岡大学発のベンチャー企業スプレーアートイグジン(静岡県浜松市)の代表、橋口論さん。高齢者施設の壁画を描く仕事をしていた際に、入居者から「私のふるさとを描いてほしい」といわれたのがきっかけ。そこから、介護従事者や認知症専門医などのアドバイスを受け、実に850人以上の高齢者の声を集めて完成させたのがミッケルアートだ。  特徴は、お茶の間や井戸端など、日本の生活の伝統的な風習を絵画の題材としている点。「介護現場では、利用者と介護職員に年齢差がありすぎて、共通の話題を見つけにくい。また、利用者同士でも、いきなり仲良く話すのは難しい」と橋口さん。そうした時に、共通の話題を提供できれば話が弾みやすいと考え、昔話に花が咲くような一幕を意図的に絵画の題材に選んでいる。  もう一つの特徴が、各絵画に「ミッケルクイズ」と呼ばれる、動物や道具などの隠し絵を散りばめている点。絵を眺めるだけでなく、「動物は何匹いますか」などのクイズ形式にすることで、見た人の注意や観察力、見当識などをより刺激する工夫が凝らされている。  こうした特徴により、介護現場のコミュニケーションを円滑にして、参加者の脳を活性化させることで、認知症の周辺症状を抑制する効果も実証されている。昨年度には認知症ケア学会において、優秀な演題発表に贈られる石崎賞も受賞した。  さらにミッケルアートの優れた点は、単に「絵をみて昔話に花が咲いた」で終わらせず、利用者とのコミュニケーションの中から、生活歴ややりたいこと、いきがいなどのキーワードを拾い出し、それを個別援助計画やケアプランに反映させるまでを目的にしている点だ。  サービス提供の中で、アセスメントとモニタリングができるプログラムで、これらの情報をケアマネジャーと共有することにより、より質の高いサービス提供につなげられるようになるのだ。 首都圏を中心に在宅介護サービスを展開する介護施設では、デイサービス事業のプログラムの中にミッケルアートを導入。取材に訪れたデイサービスセンターでは、およそ1年前から取り組みを始め、現在はほぼ毎日のペースでプログラムを実施している。  この日は井戸端会議の様子が描かれた絵画が配られ、利用者が2人1組になって、プログラムに取り組んだ。  司会を務めるスタッフから「猫は何匹いますか?」との問いかけに、「1…2…3…4匹!」と元気な声が飛び交う。その後も、クイズのやり取りが続き、タイミングよく「〇〇さんは、小さい時にどんなお手伝いをしていましたか?」など、キーワードとなる言葉を引き出していく。それを別のスタッフが聞き取り、記録用紙に書き込んでいく。 デイサービスの所長は「ほかのレクリエーションには消極的な人でも、ミッケルアートになると積極的に参加する人も多い」と、利用者がミッケルアートを楽しみにしている状況を説明する。  導入した介護施設では、利用者ごとに認知症の周辺症状への効果を評価し、その結果を担当のケアマネジャーや家族に報告している。所長は「こうした取り組みが徐々に地域に知られてきている」と手応えを感じている。  次期制度改正では、事業内容ごとにサービス内容を類型化し、報酬のメリハリがつけられる予定のデイサービス。差別化やサービスの質を高めるための取り組みが本格化している。                 (「Care-new.jp シルバー産業新聞」より引用)

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