ミッケルアートが「徳洲新聞」に掲載されました。
徳洲会グループ介護施設
ミッケルアート 回想療法を導入
徳洲会グループは、介護老人保健施設(老健)を中心に複数の介護施設で「ミッケルアート回想療法」の導入を進めている。日本の伝統的な風習を描いた絵画を用い、認知症の予防やBPSD(認知症の周辺症状)の改善などを試みるというもの。現在、5施設が実践し、このうち特定施設の有料老人(有老) ホームみさき(千葉県)は、グループで初の認定研修修了者を出し、3月から本格的に行っていく意向だ。
まず関東と関西で計5施設
回想療法は思い出を他人に話したり、語り合ったりすることで脳が刺激を受け、精神状態を安定させたりする効果が期待されるケア手法。会話によって本人を理解するのに有用な情報が得られることもあるため、介護現場ではとくに認知症の方へのケアとして注目を集めている。 この回想療法を、より効果的、継続的に実施できるように開発したのが ミッケルアート。これは昭和時代の日常風景が描かれた絵画で、静岡大学発ベンチャー企業、スプレーアートEXINの橋口論社長が制作した。「回想療法はコミュニケ ーションが重要になりますが、介護を受ける側と提供する側で年齢や人生経験に差があり、共通の話題も少ないため、うまくいかないケースが見受けられます。
1思い出しやすい題材、
2見つけたい意欲を喚起するクイズ 性の付加、
3視力の低い 高齢者にも見やすい描写、
4介護者の使いやすさに 配慮
の4つの工夫を施し、コミュニケーションが図りやすく、職種を問わずいつでも誰でも回想療法を行えるのがミッケルアートです」
同社は、これを活用し最終的に認知症の予防や BPSDの改善を目的と した独自のプログラム「ミッケルアート回想療法」を考案。週2回程度、1 回あたり20分〜30分のグル ープワークを行う。
司会者は参加者2人に1枚の絵を配布し、絵と関連した思い出を尋ねたり、「この絵のなかに猫は何匹いますか」などクイズを行ったりする。毎回、認知症自立度や寝たきり度、認知症行動 障害尺度(DBD)など数値評価を行う。
4カ月程度行い、最終的に効果 を測定する。同社はこの4カ月間を認定研修期間に設定。導入施設の職員 は実際に同療法を行うかたわら、通信教育でグル ープワークの進め方や、話の展開例、数値評価の方法などを学んでいく。
同社は同療法の研究結果を認知症に関する医療・ 介護の各種学会で発表。
2013年、 14年と2年 連続で受賞した。
有老みさきで研修修了者 吹田徳洲苑は大規模実施
徳洲会グループは昨秋 からミッケルアート回想療法の導入に着手。
特定施設の地域密着型有老ホ ームみさきを皮切りに、老健の岸和田徳洲苑(大阪府)、静岡徳洲苑、八 尾徳洲苑(大阪府)、吹田徳洲苑(同)が順次導入。グループ初の認定修了者となる予定で、自施設でほかのスタッフの指導にあたるなど3月以降、活動を本格化する方針だ。「導入した目的は認知症の予防。 年には認知症患者さんが325万人に増加 すると予測されています。 何ができるかを考えるなかでミッケルアートに出会い、導入を決めました」 と事務長。
認定研修を受講した増田昭夫・介護福祉士は「利用者さんのなかには、物忘れや被害妄想が軽減し、 笑顔が多くなった方や自主的に歩行訓練を行うようになった方もいます」と、 早くもその効果に驚く。静岡徳洲苑、岸和田徳洲苑は1月から入所者さんを対象に、八尾徳洲苑 は2月から通所リハビリ テーションの利用者さんを対象に認定研修を開始。 認知症の方とのコミュニ ケーション力の向上やBPSDの軽減などに期待を寄せている。
吹田徳洲苑は、より多くの入所者さんを対象にした試みに挑戦。絵画を 映像化して大きなスクリ ーンに映し出し、約20人の入所者さんを対象にこれまで2回行った。様子を見た酒井敬施設長は「司会者から距離が遠い人でも、近い席の人と会話する様子が見られました。いずれにしても根拠のあるケアを行っていきたいと考えています」と、 数値評価を行う同療法の継続に意欲的だ。
(徳洲会「徳洲新聞」より引用)
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