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介護支援協会誌で認知症予防「ミッケルアート」を特集して頂きました。

平成28年度

ケア真似研修会 ケアマネジメントで 「介護サービスの質の向上」に チャレンジ!

【主催】特定非営利活動法人 日本介護支援協会

【後援】公益社団法人 全国老人福祉施設協議会

【日時】<前期> 8月18日(木)「インターライ方式」を学ぶ

         8月19日(金)「ミッケルアート」による 認知症ケアを学ぶ

<後期> 10月24日(月)「インターライ方式」を 実践する

【会場】全国老人福祉施設協議会

【講師】基調報告 福間 勉氏

島根県・広島県の医療ソーシャルワーカーを経験後、島根県内の在宅介護支援センターに社会福祉士として勤務。2000 年からは、同法人で居宅介護支援事業所の介護支援専門員として勤務。2005 年より東洋大学ライフデザイン学部専任講師、2011 年より現職。静岡大学大学院卒業。2010 年「ミッケルアート」を開発。11 年 東京医科歯科大学大学院と共同研究開始、13 年日本介護支援協会 専務理事。ケアマネ研修会に際し、介護保険制度改革の動向、社会福祉法人改革の実施、新たな福祉サービス体制のあり方を報告。

●インターライ方式

高野龍昭氏 特定非営利活動法人インターライ日本 監事 インターライ・ケア研究会 副会長 東洋 大学 ライフデザイン学部 准教授 島根県・広島県の医療ソーシャルワーカーを経験後、島根県内の在宅介護支援センターに社会福祉士として勤務。2000 年からは、同法人で居宅介護支援事業所の介護支援専門員として勤務。2005 年より東洋大学ライフデザイン学部専任講師、2011 年より現職。

●インターライ方式

石橋智昭氏 特定非営利活動法人インターライ日本 理事 公益財団法人 ダイヤ高齢社会研究財団 研究部長 医学博士。千葉大学大学院修了後、亀田総合病院、慶應義塾大学医学部を経て、現職。「インターライ方式ケアアセスメント」(医学書院)の翻訳を担当。

●ミッケルアート

橋口論氏 静岡大学発ベンチャー企業 株式会社スプレーアート EXIN 代表取締役 静岡大学大学院卒業。2010 年「ミッケルアート」を開発。11 年 東京医科歯科大学大学院と共同研究開始、13 年日本認知症ケア学会 / 石﨑賞を受賞、14 年 日本認知症予防学会・浦上賞を受賞、日本早期認知症学会・紀要論文、15 年 日本医療福祉設備協会・研究報告、16 年 医学誌に掲載、日本認知症予防学会エビデンス創出委員会グループリーダー。

●ミッケルアート

岩村映子氏 愛の家グループホーム足立加平 ホーム長 ヘルパー 2 級、介護福祉士、介護支援専門 員、認知症ケア専門士、認知症ライフパートナー(応用)、ミッケルアート回想療法士 1 級

〜ミッケルアートによる認知症ケアを学ぶ 〜

ミッケルアートの特徴

高齢化に伴い、今後ますます増加するといわれる認知症。

最近では、施設に入所している間に認知症を発症する高齢者も少なくないが、認知症高齢者のその人らしい生活を保持する上で、適切な認知症ケアが求められている。 中でも重要とされるのが人間としての尊厳であり、認知症高齢者が何をしたいと思っているのか、何ができるのか、残存能力を活かすには何をしたらよいのかなどを理解する必要がある。そこで不可欠なのがコミュニケーションによる情報収集だが、認知症高齢者と介護職との年齢差や価値観の相違、あるいは介護職のキャリアの違いなどにより困難を極めているのが現状だ。 そこでコミュニケーションツールとして注目されているのが「ミッケルアート」である。いつでも、どこでも、誰でも回想療法を行うことができる。クイズ性を持たせた昔懐かしい絵画を使うことによって高齢者の真のニーズを引き出すことが簡単にできるツールで、特徴は次のとおりである。

昭和初期から昭和30年代の茶の間や学校教室、行水、紙芝居など、日本の文化や生活、風習を題材にし、高齢者が回想しやすい絵にすることで、「懐かしい」という感情とともに、当時の記憶がよみがえり、話が盛り上がる。

小動物や人気スターなどが隠し絵のように随所に描かれ、それを「見つける」というクイズ形式になっているの で、意欲や楽しさを引き出す。

2人1組で1枚のミッケルアートを見るので、隣同士で会話がしやすくなり、入居者同士のコミュニケーションに も役立つ。ふだん話さない高齢者も、自然と話すようになる。

A3の大きさの絵の裏側には、絵の解説や具体的な質問といった会話マニュアルが書いてあり、経験の浅い新人や話すのが苦手なスタッフでも、会話がとまらずスムーズに進行できる。

グループワーク形式で行うので、高齢者と向き合う楽しい時間を作ると同時に、新人スタッフが成長でき、スタッフのスキルアップにもつながる。

単に「絵をみて昔話に花が咲いた」で終わらせず、高齢者とのコミュニケーションの中から、生活歴、やりたいこと、生きがいなどにつながるキーワードを拾い出し、それを個別援助計画やケアプランに反映させることも目的。

アセスメントとモニタリングができるプログラムになっているので、これらの情報をケアマネジャーと共有することにより、より質の高いサービス提供につなげられるようになる。 実際にミッケルアートの絵を配ると、高齢者同士で自然に会話が始まるので、介護スタッフは、しばらく間その話を聞き、次のSTEP1~3の質問を行う。

STEP1…見当識や注意観察力を促す質問。絵の中から何かを見つけることを通じて、アルツハイマー型認知症       の初期に生じやすい見当識障害に気づくきっかけになる。

STEP2…思い出すという想起記憶を刺激するための質問。入居者同士のコミュニケーションを促すだけでな        く、脳の前頭葉を刺激して認知症の進行を防ぐ効果が期待されている。

STEP3…本人の興味関心ごとを聞き出すための質問。

       想起された思い出話から会話を展開する中で、 「これがしたい、これをやりたくなった」といった       ように本人のやりたいことがわかり、本人主体のケアや信頼関係の構築に役立つ。 ミッケルアートを       実施する時間帯は、事業所によって異なる。おすすめはティータイムだ。入浴がない事業所で、朝食       後に実施する所もあれば、午後、体操レク後や送迎の待機時間などに実施している所もある。 これま       でに行った研究により、認知症予防・進行抑制に関するエビデンスを得ている。 たとえば、「介護       施設における高齢者のBPSDと認知症自立度及び寝たきり度」に対し、ミッケルアートによる回想       療法が症状の維持・改善に効果があり、これによって生活の質の改善・向上を図る方法として一定の       有効性を持っている」ことが示唆された(平成25年度全国老人福祉施設協議会・調査研究助成事業報       告書)。 BPSDの緩和効果に有効である可能性は、99・9%を超え(1%有意、n =191名)、       昼夜逆転、意欲低下、介護拒否を中心に改善できる可能性が高い。また、介護度による効果の違いに       ついては、明確な関連は見られず、重度者でも改善効果が見られる。 認知症の原因はアルツハイマー       型認知症が最も多く、次いで脳梗塞などの脳血管疾患による認知症(血管性認知症という)が多い        が、アルツハイマー型認知症よりも血管性認知症の改善効果のほうが高い。通所、入所の差は見られ       ないため、両方で効果が期待できる。 そのほか、絵を快いと感じて何かを想起・記憶することを通       して、脳血流量が増加し発語数が増え、脳機能の活性につながる(日本認知症ケア学会2013年・       石崎賞を受賞)。 また、認知症高齢者の行動・心理症状(BPSD)、日常生活自立度、寝たきり       度を調べた結果、ミッケルアートによる症状の維持・改善効果があり、認知症高齢者の生活の質の改       善・向上を図るうえで一定の有効性を持っていることが確認されている(日本認知症予防学会          2014年・浦上賞を受賞)。 なかでも高い評価を得ているのは、認知症によるBPSDに対する        ミッケルアート効果を数値化・グラフ化できる点だ。使用しているDBD13スケール(認知症行動傷       害尺度)は、利用者を観察して主観的に評価でき、比較的簡単にできると好評だ。 3ヵ月間、週2        回、ミッケルアートを実施した例を紹介する。

●介護度4、アルツハイマー型認知症(60代・男性)

【課題】吃音障害のため会話が成立せず、常にイライラ感があり、要求が通らないと大声・奇声・奇行が見られた。    他者の言動にパニックを起こすこともある。

【成果】ミッケルアートを実施しないときは、パニックを起こすことが多かったが、ミッケルアートを実施している    ときは笑顔で過ごせるようになり、質問にも答えることができるようになった。 また、1対1でミッケル     アートを行い、単語によるコミュニケーションを心がけた結果、あきらめずに言葉で伝えようとする姿勢が    見られるようになり、お茶会などのグループワークに参加するようになった。DBD 13スケールによる      BPSD評価では、初回は総合点21点だっ3ヵ月後は16点と改善した。

●介護度3、血管性認知症(80代・女性)

【課題】話しかければ話し始めるというように受身なことが多く、夕方に帰宅願望が強くなる。

【成果】ミッケルアートを実施しても、めんどくさいと話をしないこともあったが、本人が反応するフレーズがあ     り、食べ物や出身地について聞くと会話がしやすくなり、笑顔がよくみられるようになった。 夕方の帰宅    要求がなくなり、改善された。DBD13スケールでは34点から21点へと、9点改善した。

●介護度5、アルツハイマー型認知症(90代・女性)

【課題】日中はウトウトと居眠りが多く、夜間はベッド上で動き、朝まで眠れず不眠傾向がある。その場での受け答    えはできるが、話のつじつまが合わないことが比較的多い。

【成果】ミッケルアートを実施すると、楽しそうに会話し、イキイキとした表情を見せる。しだいに日常的に楽し     く話す様子が増え、昼夜逆転が改善し、穏やかな表情で過ごすことが増えた。DVD13スケールでは、22     点から8点へと、14点改善した。 ほかにも多くの症例が報告されているが、認知症の非薬物療法の確立を    めざし、さらなるネットワークが広がっている。ミッケルアートは、週に2回20分間行うだけなので、多忙    な現場でも容易に実施でき定着しやすい。 思い出をふり返ることは、 脳が活性化し、認知症予防に繋がります。 ミッケルアートは、 思い出話をきっかけにした認知症予防として 多くの介護施設で活用されています。

〜参加者の声 〜

利用者がどんなことに興味を持っているのか、どんな生活をしてきたのか、何をしたいのか、普通に会話しているときよりも多く引き出せると思う。 まだ知りえない利用者の情報を引き出してくれそうで、アートを見た時の反応が 楽しみだと感じた。 症状の改善という目標や評価ができるので、実施する側も意欲的に取り組めるの では、と感じた。 絵を見ることで、年代が違ってもそれぞれ会話が弾むことがわかった。 いろいろな可能性(絵を描いてみたい、色を塗ってみたいなど)もあると思った。 スタッフのコミュニケーション能力に差があっても、利用者とのコミュニケーションをとりやすい。 利用者の家族とのコミュニケーションにもよい。

思い出をふり返ることは、 脳が活性化し、認知症予防に繋がります。

ミッケルアートは、 思い出話をきっかけにした認知症予防として

多くの介護施設で活用されています。

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