日中に寝ていることが多い方が、 自発的に他のご利用者と交流するようになりました。
【 S様 男性 60代 】
・介護度 : 3
・認知症の種類 : アルツハイマー型認知症
・認知症自立度 : Ⅱa ・寝たきり度 : B2
・介護老人保健施設
■ミッケルアートの回想法を通じて
S様は、普段は職員の質問に対して「まあね」や「そうだったかな」等、表面的に、
その場しのぎの取り繕う様な、発言が多く、職員や他の利用者へ自分から話しかける姿は見られませんでした。
そこで、ミッケルアートを週2回、20分程度 行いました。
<開始から1ヶ月目>
テーマや絵柄によって質問への回答の回数に差が見られました。
日によって「これか」と ミッケルを覚えていて下さる発言 が見られました。
<開始から2、3ヶ月目>
「何をしているのか、何でここにいるのかわからない」などと、
質問に対しても、落ち着かず、表情やその場しのぎの反応が多かったS様。
後半は質問に対して考える様子を見せ、「遠距離恋愛をしてた」「漫画は買わずに借りたよね」など、
個人的なお話をする事が増えました。
さらに、食べたい物は、「蕎麦が食べたい」、やりたいことは、出来るなら教師の仕事をしたいと話して下さり、
その際は笑顔も見られ、表情も落ち着かれいる ようでした。
◼︎周辺症状「活動意欲」の改善
ミッケルアートに参加する度に、自発的な行為が増え、テーマによっては活動中に、他の利用者に話しかける姿も見られました。また、自主的な行為として紙やコップ、マグネットを集める行為が見られ、飲水や作品展示を使用と考えたとも思われます。
★介護スタッフ様の工夫
元教師と言うこともあり「思い出」や「感想」よりも「知識」としての質問のから話しかけ、後半に「個人的な思い出」の話を聞くようにしました。さらに、会話が出やすいように「お母さん」等をテーマをとしました。また、その場を取り繕おうとする行為がある為、こまめに質問を行い、テーマの内容を再認識して頂くように工夫しています。
◼︎まとめ
・絵をきっかけに、ご本人の希望を聞き出すことを大切にしました。
・心地よいコミュニケーションを通じて、表情は穏やかになりました。
思い出話をきっかけに、楽しく過ごして頂くことが、認知症予防に繋がると期待されます。
より良い認知症ケアを通じて、ご利用者、ご家族の喜びにお役立てください。
※平成27年日本認知症ケア学会演題発表「ミッケルアート回想療法によるBPSDのクラスター分析」
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