何事にも無気力、無関心だった方が、 自発的に笑顔で活動するようになりました。
【 T様 女性 80代 】
・介護度 : 4
・認知症の種類 : 脳血管性認知症
・認知症自立度 : Ⅱa
・寝たきり度 : B2
・介護老人保健施設
■ミッケルアートの回想法を通じて
T様は、普段は集団プログラムへほとんど参加されず、職員との会話もいつも変わらない、
同じようなお話ばかりでした。
そこで、ミッケルアートを週2回、20分程度 行いました。
<開始から1ヶ月目>
ミッケルアートへの参加の声掛けには笑顔で応じられていたが、話を聞いていることが多く、
T様からの発言はあまり見られませんでした。
<開始から2、3ヶ月目>
夕飯の買い物の絵を見て
「これ買い物してるね。うちは、日光街道の辺りだから、こんな立派な店はなかったね。近所に1件だけ店があって、そこに野菜とか、魚とか、洋服とか売ってて、小さい頃から1人で買い物に行っていたよ。」
と懐かしい思い出を話して下さいました。
また、楽しんでお話しをする様子が見られた ので、自分の知らない内容であっても、「質問してほしい」と話しをすることが好きになってきています。
◼︎周辺症状「無気力」の改善
ミッケルアートに参加する前は、他の利用者と関わろうとせず、職員の話しかけへの反応もあまり見られない、無為的な様子でした。実施後は、職員から話しかけられると、会話をしながら、笑顔や穏やかな表情が見られやすくなりました。
★介護スタッフ様の工夫
ミッケルアートを実施していない時の会話では、職員が昔の暮らしの様子を知らなかった為、会話を引き出すことが出来ていなかったと感じました。T様は、2年ほど利用している利用者でしたが、今までは決まったテーマのみ、会話する姿がほとんどでした。ミッケルアートでは、絵を見る事で今まで話題にしなかった事を聞き出し、それがT様にとって、良い刺激になった と思います。 オープンクエスチョンに回答が可能なため、なるべく「お姉さん」「お母さん」「栃木の実家」「家の商売」等と分かりやすく、関連する回想につなげるように心掛けました。
さらに、普段からよくお話しされる「猫・酒」以外の話を聞き出し、T様の好きな話しを通して、他の回想につなげるように工夫しました。
◼︎まとめ
・絵をきっかけに、ご本人の希望を聞き出すことを大切にしました。
・心地よいコミュニケーションを通じて、表情は穏やかになりました。
思い出話をきっかけに、楽しく過ごして頂くことが、認知症予防に繋がると期待されます。
より良い認知症ケアを通じて、ご利用者、ご家族の喜びにお役立てください。
※平成27年日本認知症ケア学会演題発表「ミッケルアート回想療法によるBPSDのクラスター分析」
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