ある発達支援センターに行き、発達支援ご専門の医師の方からキッズ版に対するアドバイスをいただきました。
1. 支援が必要でない子と、支援が必要な子のアプローチの違い
現在のミッケルアート キッズ版は、保育園向けにアクティブラーニングの視点で開発されていますね。
つまり、子どもの能動的な発言を促す仕様になっています。保育園に通う子にとっては、様々な意見がでるツールになるでしょう。
一方、保育園に通う「気になる子」や、放課後デイサービスに通う「支援が必要な子」は、能動的に子どもに自由な意見を引き出そうとすると、バラバラな意見が出てきます。一人ひとりの個性として捉えるのは大切ですが、趣旨を伝えられない可能性があります。
そこで、ティーチングの視点が大切です。
絵の趣旨に意識が集中しやすいように、絵の表現や保育者さんの言葉がけが重要になります。
この2つの視点を保育者さんが理解しておけば、より良い活用に繋がるでしょう。
2. 保育園向けのミッケルアート の使い方と工夫について
2−1. 絵を比較してみせる場合のメリットとデメリット
2枚の絵を比較した場合、まずは良い悪いを認識させる方法としては有効です。
しかし、子どもは慣れてくると、「良い」「悪い」だけの答えになってくる可能性があります。
その場合は、1枚だけの絵を見せましょう。
子どもは、1枚から想像して、自分の考えを発言するようになります。
2−2. 気になる子に意識させる言葉がけ
30人のクラスでは、おおよそ1割の程度気になる子がいるといわれています。
おそらく絵を見せた時に、他の子と違う意見を言うでしょう。
例えば、手洗いの絵を見せているのに、「この服持ってるー♪」など。
他の子と違う視点を持つことは大切ですが、趣旨を意識させるためには、
保育者さんは、その子を意識しつつも、クラスみんなに対して、以下のような言葉がけをしましょう。
「この子は何をしているかな?」など、絵の中にフォーカスを当てます。
そうすれば、その子も意識しやすくなるでしょう。
2−3. 保育者さんは「いいね」とは言いすぎない。子どもの意見を復唱して、肯定化する
子どもたちは、先生に「いい考えだね」と言われるとやはり嬉しくなります。しかし、あまり言いすぎると、先生に褒められるから良い意見をいうという可能性もあります。
そこで、保育者さんは、子どもが言った意見を復唱するようにしましょう。
「◯◯と思う!」と発言があれば、「そうか、A君は◯◯だと思うんだね♪」と復唱しましょう。復唱するだけで、自己肯定感が生まれます。
保育者さんが子どもの意見に対して、良い悪いをジャッジ(判定)しないことが大切です。
2−4. 話し合った後は、実際の体験につなげる
みんなでいろんな意見を出し合った後は、実際にそれをやってみるとさらに良いでしょう。
例えば、手を洗った後に、服で手を拭いている絵を見せたとします。
話し合いの後に、実際にやってみます。
子どもによっては、
「服が濡れて、涼しくて気持ち良い」
「ビショビショで気持ち悪い」
「濡れたから着替えたい」
など、様々な反応が出てきます。
濡れて気持ち良いと感じた子には、友達からの意見など話し合える場をつくると、ハンカチで拭いたほうが良いという発想になるかもしれません。
話し合って、体感する。体験して話し合う。
これを繰り返すことで、深く学ぶことにつながるでしょう。
以上、貴重なアドバイスをいただきました。ご協力いただいた発達支援センター様に感謝いたします。
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