ミッケルアートを実施することによって、職員の方やほかの利用者様と会話が増え、レクリエーションにも参加するようになり、傾眠傾向が改善されたB様の事例を紹介します。
【ミッケルアート回想法】実施前の状況
アルツハイマー型認知症のB様は⽇中の傾眠傾向が強く、お茶の声かけを行ってもすぐに⼊眠されてました。普段は居室にて休まれていることが多く、ホールへ出て来られてもすぐに部屋に戻るという状況でした。
B様の状況
年齢 | 88歳 |
性別 | 女性 |
要介護度 | 要介護1 |
認知症の種類 | アルツハイマー型認知症 |
認知症⾃⽴度 | Ⅲ(日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが見られ、介護を必要とする。) |
⽣活状況 | ⾃⽴歩⾏。話すことが好きで、よく読書をしている。在宅時は畑仕事をしていた。被害妄想が強く出現することがあり、認知症症状がみられ同じことを繰り返すようになる。 |
ミッケルアート回想法の具体的な取り組み
ミッケルアート回想法実施の概要は、次の通りです。
実施期間…3か月
取り組み内容…1日10~15分、ミッケルアート回想法を実施(毎日ではない)
工夫した点…笑顔で接して会話が広がるように⼼がけた。会話の腰を折らないようにした。
【ミッケルアート回想法】実施後の改善結果
ミッケルアートを実施することによって、B様の症状に2つの改善行動が見られようになりました。
1.ミッケルアートを通して会話の量が増えてきた
ミッケルアート開始時は、会話の途中で「早く部屋に帰って眠りたい」とおっしゃってましたが、回を重ねるにつれ、仕事やお手伝いの話を嬉しげに話されるようになりました。
2か月目になると、ほかの利用者様との会話が見られるようになり、部屋から出て過ごされる日も増えてきました。
3か月目になる頃には、絵を見て「本をたくさん読みたい」「散歩に行きたい」「川に行きたい」など、嬉しそうに笑顔で話されるようになりました。
はじめの頃はコミュニケーションに難しさがありましたが、ミッケルアートを続けることにより、職員やほかの利用者様との会話で笑顔が増えるようになりました。
また、ミッケルアート実施時に声をかけるとホールに出て来られるようになり、以前に⽐べて居室にいる時間も少なくなったそうです。
2.傾眠が減り、会話が増えてレクリエーションにも参加されるようになった
ミッケルアートの実施後、居室で読書をしたり⾃主的にパズルをしたりして、以前より傾眠が減ってきました。
職員やほかの利用者様とお茶を飲みながら談笑されるようになり、レクリエーションにも参加して笑顔で体を動かすお姿も見られるようになりました。
以前に比べ、居室で過ごすよりもホールへ出てこられることが多くなり、傾眠が少なくなっています。
まとめ
傾眠傾向にある方に対しては、積極的に話しかけて会話する、活発に動く機会をつくるなどの働きかけが推奨されています。
B様はミッケルアートを実施することによって、職員やほかの利用者様との会話が増え、レクリエーションにも参加されるようになりました。結果として、傾眠傾向の改善につながったものと推察されます。
参考
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